大きな方向転換がもくろまれている。懸念をもたざるをえない。
民間有識者でつくる「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」が報告書をまとめ、菅直人首相に提出した。日本の安全保障の指針「防衛計画の大綱」の見直しに向けたものだ。
「平和創造国家」を目標にすえるのはいい。しかし、脅威には軍事力で対抗するという「力の論理」があちこちに顔をのぞかせている点が危うい。
たとえば、専守防衛の理念を長く支えてきた基盤的防衛力構想を、「もはや有効でない」とはっきり否定した。
集団的自衛権の行使を禁じる憲法解釈の見直しや、武器輸出三原則の緩和なども求めている。
また戦後、「国是」とされてきた非核三原則のうち、米国の核持ち込みの禁止について「必ずしも賢明ではない」と疑問を投げかけている。
とりわけ見過ごせないのは、防衛力のあり方をめぐる方針転換である。
防衛大綱は1976年に初めて策定されて以来、「脅威に直接対抗せず、自らが不安定要因にならないよう必要最小限度の防衛力を保有する」という抑制的な考え方を継承してきた。
ところが報告書は一転して、脅威対抗型にかじを切るべきだとしている。
なにが変わったのか。
報告書は米国の軍事力の優越性にかげりが生じていることや中国の軍事力の近代化、北朝鮮の核・弾道ミサイル開発などをあげる。地域の不確実性が増す可能性には確かに注意が必要だ。
しかし同時に、近隣諸国との相互依存はますます深まり、日米安保体制はより強化されてきた現実もある。日本周辺に、あたかも本格的な軍事侵攻を仕掛ける勢力がいるかのような指摘はバランスを欠いていないか。
相手の脅威に応じた防衛力整備は、防衛費の増大ばかりか軍備競争や摩擦の拡大にもつながる。
戦後一貫して、他国の脅威とならないとし、専守防衛を掲げてきたわが国の理念からも逸脱しかねない。
それがアジア諸国の目にどう映るのか、いま一度考えてみる必要がある。
安全保障問題は民主党政権の苦手分野といっていい。野党時代から、このテーマにきちんと向き合ってこなかった。沖縄の普天間移設問題の迷走一つを見ても、それは明らかだ。
政治主導を掲げながら、大綱見直し作業を外部の有識者に丸投げしていたことも、その証左だろう。懇談会は、人選の理由や議論の中身についてさえほとんど明らかにしなかった。
その報告書をもとに、政府は年末に向け新たな防衛大綱をつくる作業にはいる。適切な政治のグリップなしに大きな政策転換に突き進んでいいのか。
時間をかけてもいい。作業の進め方そのものから見直すべきである。
現行の04年大綱は、基盤的防衛力に代わって「多機能・弾力的・実効性ある防衛力」を打ち出しつつ、基盤的防衛力構想の「有効な部分の継承」もうたっていた。報告書は、この完全放棄とともに「踏み込んだ防衛体制の改編」を求めた。
具体的には、中国や北朝鮮への対応を想定した南西方面の防衛力充実が念頭にあるのだろう。「脅威」を無視した防衛力構想はありえない。が、相手国の軍事力に見合って防衛力を整備する脅威対抗一辺倒の発想では、互いの軍拡によって緊張を生む「安全保障のジレンマ」に陥る危険がある。政府に十分な検討を求める。
一方、非核三原則について報告書は、当面は改める情勢にはないとしながらも、「持ち込ませず」を念頭に「米国の手を縛る」と強い疑問を呈した。現在の米国の核戦略からみて三原則見直しは現実的でない。また、見直しに踏み切った場合の国際的反応も考慮しなければならない。三原則は今後も堅持すべきだ。
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力の論理?当りきしゃりきの、こんこんちきよ。
どこが悪い?核武装が当然の国、日本で、お前らの言ってることは、理屈にもなってない、念仏平和教だ。
日本人に言う前に、中共様・露助様・南北チョン様にお伝えして来い、内弁慶野郎。