私的憂国の書

民主主義を希求しつつ、日本における戦後民主主義を否定する。真の主権回復は戦後レジームの打破から生まれる。
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戦争を考える ~ 日本人はなぜ米国による原爆や無差別殺人を恨まないのか

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 金曜日のレイトショーで映画「終戦のエンペラー」を観たのだが、期待していた割にはかなりのガッカリ具合で、少々ヘコみながら帰宅した。これが米国製映画の限界なのかと思ったのだが、比較論で言えば、少なくとも「硫黄島からの手紙」や「ラストサムライ」は、本質的な部分に少しは近づいていた作品だったと思う。やはり、GHQの史観から抜け出られない範囲で映画を作ると、こういう中途半端なものになるのではないだろうか。天皇の地位を米国が守ったという宣伝と取れなくもない。非常にデリケートなテーマに果敢に挑んだことは評価するが、個人的には生煮えのものを食べたような感覚が残った。

 戦後の日本では、よく、大東亜戦争の総括ができていないという論が出てくる。その論自体を否定するわけではないけれども、寧ろ、戦後のGHQによる日本占領政策に対する認識の欠如が、それを妨げてきたという面もあるように思う。この知識がなければ、バランスの取れた総括など、絶対に不可能であるからだ。

 先の大戦での人道に反する行為の最たるものが、広島と長崎に投下された無差別大量殺戮爆弾であり、東京大空襲に代表される、非戦闘員の大量殺戮である。どれをとっても、明確な国際法違反だ。しかし、日本人は、これらのことに対し、殊更米国を恨み、呪うという姿勢を示さない。逆に、広島の原爆慰霊碑には、「安らかに眠って下さい 過ちは 繰返しませぬから」と刻まれている。主語はないが、明らかに“日本人としての過ち”を反省している碑文だ。

 敗戦国日本を占領してから、米国は占領政策によって、「日本の民主化」を促進したと言われる。だが、彼等GHQの使った手法は、敗戦国なら何をしても構わないという前提に成り立っている。検閲とウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムがその最たる例だ。それは、「日本の民主化」という美名のもとに、日本という國を骨抜きにする政策だったのだ。

 戦後、GHQは、苛烈な検閲をメディアに強いた。日本人の言語空間に自由を許さず、一方でその自由を抑制した検閲体制に対する批判を封じ込めることによって、その背後にある明確な意図をひたすら隠したのである。日本のマスメディアに対して発布された下記の検閲指針によって、日本人には、米国にとって都合の良い情報しか耳に入って来ない状況を生み出したのである。

(1) SCAP-連合国最高司令官(司令部)に対する批判
(2) 極東軍事裁判批判
(3) SCAPが憲法を起草したことに対する批判
(4) 検閲制度への言及
(5) 合衆国に対する批判
(6) ロシアに対する批判
(7) 英国に対する批判
(8) 朝鮮人に対する批判
(9) 中国に対する批判
(10)他の連合国に対する批判
(11)連合国一般に対する批判
(12)満州における日本人取扱についての批判
(13)連合国の戦前の政策に対する批判
(14)第三次世界大戦への言及
(15)ソ連対西側諸国の「冷戦」に関する言及
(16)戦争擁護の宣伝
(17)神国日本の宣伝
(18)軍国主義の宣伝
(19)ナショナリズムの宣伝
(20)大東亜共栄圏の宣伝
(21)その他の宣伝
(22)戦争犯罪人の正当化および擁護
(23)占領軍兵士と日本女性との交渉
(24)闇市の状況
(25)占領軍軍隊に対する批判
(26)飢餓の誇張
(27)暴力と不穏の行動の扇動
(28)虚偽の報道
(29)SCAPまたは地方軍政部に対する不適切な言及
(30)解禁されていない報道の公表


 これら全てのことが、日本のメディアには禁止事項だったのだ。この指針に背いたメディアは、実際に、発行停止などの処分を受けている。加えてGHQは、戦争についての罪悪感を日本人に刷り込むために、ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムを敷く。終戦の年の12月8日、わざわざ日米開戦の日に合わせて開始された工作である。具体的には、日本の新聞紙面に、日本軍の残虐さを強調した「太平洋戦争史」をシリーズで連載させ、日本国民は軍国主義の犠牲者であるという史観を宣伝し、刷り込んだ。大東亜戦争という呼称が禁止され、代わりに太平洋戦争という呼称が全面的に採用されたのは、この時期だ。神道指令が発布、修身の廃止など、日本人に対する骨抜き工作は、このウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムのもとに行われている。

 江藤淳は著書「閉された言語空間」の中で、太平洋戦争史について次のように書いている。

 そこにはまず、日本の「軍国主義者」と「国民」とを対立させようという意図が潜められ、この対立を仮構することによって、実際には日本と連合国、特に日本と米国とのあいだの戦いであった大戦を、現実には存在しなかった「軍国主義者」と「国民」とのあいだの戦いにすり替えようとする底意が秘められている。
(中略)
 そして、もしこの架空の対立の図式を、現実と錯覚し、あるいは何らかの理由で錯覚したふりをする日本人が出現すれば、CI&Eの「ウォー・ギルト・インフォーメーション・プログラム」は、一応所期の目的を達成したといってよい。つまり、そのとき、日本における伝統的秩序破壊のための、永久革命の図式が成立する。以後日本人が大戦のために傾注した夥しいエネルギーは、二度と再び米国に向けられることなく、もっぱら「軍国主義者」と旧秩序の破壊に向けられるにちがいないから。


 つまり、日本における戦後史観というものは、正しい情報に基づかず、米国の都合のよい情報によって操作された上に導かれてきたと言って良い。日本人は何故、原爆や、東京大空襲のような無差別殺戮について、殊更穏便な態度を取ってきたのかというと、それは日本特有の「水に流す」という文化によるよりも、“操作された情報”によって、憎むことを許されなかったからだと思うのである。米国は、原爆の投下について、「戦争を終結に導き、日米両国の何万人もの命を救った」というプロパガンダを国是とした。米国は日本人のみならず、自国民をも検閲で誤魔化しており、それがまんまと成功しているのだ。

 話は少しそれるが、昨日のテレビ東京で、池上彰が戦争報道を振り返る番組をやっていたが、ベトナム戦争の終結にあたり、米CBSのニュース・キャスター、ウォルター・クロンカイトがテレビで、「民主主義を擁護すべき立場にある、名誉あるアメリカ軍には、これ以上の攻勢ではなく、むしろ交渉を求める」と語ったことを引き合いに、ベトナム戦争は“メディアが終わらせた戦争だ”と称賛していた。実は米国は、ベトナム戦争時、検閲をしていなかったのである。ラスク書簡で知られるディーン・ラスクは、1980年、ベトナム戦争の失敗について、このように語っている。

 私はこの戦争は失敗だったと思っている。そのことについては御異存はないでしょう。
 何故失敗だったかといえば、合衆国政府はベトナム戦争では一度も検閲しなかったからだ。過ぐる第二次大戦においてはまことに酷烈なる(ストリンジエント)検閲を実施して戦争に勝ち抜いたのに、ベトナム戦争では検閲すらきちんとやらなかった。したがって我々は銃後の国民の支援を得ることができなかった。
 考えてもみたまえ。自分の息子や恋人や夫がベトコンに惨殺されていく画面を毎日見ている国民が、この戦争を続けましょうという政府の呼びかけに積極的に応じるわけがない。ああした報道の下では、どんな政府でも、戦闘を続行し勝つことなど不可能だ。


 米国を憎めと、殊更反米を煽るつもりなどない。いわんや、我々日本人は、どこかの対岸の民族のように、恨みを1000年も持つような民族とは全く異なる。ただ、言語空間の閉鎖を知り、情報操作によってもたらされた歴史認識の歪みを修正することなくして、戦争や戦後、未来の日本を語ることは、どこか空しい。終戦の日を前に、戦争を扱ったテレビ特番が多いようだが、どれもこれも、ほとんど観るに値しない。ひとつの主要な前提を欠いているからだ。戦争を総括し、日本の歩むべき道を議論するには、終戦から1952年4月28日までの7年間に何があったかを知ることが、必須条件である。




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[ 2013/08/12 07:29 ] 史観 | TB(1) | CM(7)
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[ 2013/08/13 01:25 ] [ 編集 ]
No title
私たち日本人が皆、管理人様のように客観的に考察されるお方だと良いのですが‥^^;

文科省の推計によると、「識字力」が低いとされる
学習障害の児童生徒の発生率は
小学生=約5%、中学生=約25%、だそうです。
中学校で英語が始まるのが発生率大幅upの原因と。

識字力とは、音声・イメージと文字とを結びつける能力です。
この点においては、日本語は容易いけれど、
英語は複雑でハードルが高く抽象的思考力を必要とします。

つまり英語圏の人々は、抽象的思考力が
幼少時~DNAレベルで鍛えられています。
したがって、情報の「裏」を想像する抽象的思考の習慣があるため
おおむねメディアを信用していません。
また、抽象的な概念である、客観性・相対性・論理性を必要とする
外交・金融・法務に長けているのは強みです。

そして日本人に根強いアングロサクソン・コンプ‥

謙虚だから威張りませんが、日本人は自分たちが
洗練された優秀な民族であることを知っています。
しかし、言語の相違から「識字力が低いのか?」
という問題を直視するとプライドが傷つくので、
英米コンプレックスが形成され、それに囚われて
客観的に国益を検討・判断することが
できなくなってしまうのではないでしょうか。

これは「回避性自己愛型」と呼ばれる幼児性(甘え)に似ています。

日本民族が、国際社会の荒波の中で
永遠に生き残っていくためには、
抽象的思考力を鍛えること・大人になること
が必要ではないかと思います。
[ 2013/08/13 01:38 ] [ 編集 ]
ねずきち(ねずさん)のドス黒いカネ儲け!!
ねずきちは創価系仏具店に飴玉を卸してカネを貪っていた!! 詳しくはblog『日心○を糺す会』をご覧下さい!!
[ 2013/08/13 06:58 ] [ 編集 ]
Re: ねずきち(ねずさん)のドス黒いカネ儲け!!
記事に関係ないコメントは遠慮します。
何度か同じ内容のコメントを書かれていますが、次から削除します。
[ 2013/08/13 07:28 ] [ 編集 ]
No title
米国の本質をしっかり認識しておくことが重要だと思います。米国の成り立ち。インディアン虐殺。敵対するインディアンに武器を与えて、戦わせた。日本に原爆二発、ベトナムに枯れ葉剤投下、アフガンでオサマビンラディンを育て、後に殺戮、イランイラク戦争でフセインを育て、後に殺戮。アメリカの歴史はまさに血の歴史です。タイ国の田舎より
[ 2013/08/15 03:26 ] [ 編集 ]
撓まぬ節
開発孝次郎様 
多分多くの日本人はしっかり認識していると思います。米国の歴史の、詳細は除いても、血塗られた土台に立つ国だという事はしっかりと。
焼夷弾は紙と木で作られた日本家屋を如何に効率よく燃やし、日本人を大量に焼き殺せるかの研究の末の爆弾だと言う事も忘れません。

大統領がこれ見よがしに日本の領土に不法上陸したり、妄想歴史認識で声高に千年の恨みを宣言する不様より、冷徹に、深く静かに,努めて正確に認識して見つめる眼が日本には多くあることを、申し上げます。

自らの血と差別の歴史を顧みること無く、他国の歴史以前の事さえ学ばずに、軽佻浮薄そのもので日本にモノを言う米国人をもしっかり記憶致します。

日本人には西郷八重様の辞世の和歌に詠われた
   なよたけの風に任する身ながらも
          撓まぬ節の有りとこそ聴け
の精神が皆の無意識のうちに在ると、私は信じて居ります。
[ 2013/08/15 13:47 ] [ 編集 ]
戦争主権者を叩きのめすー戦争哲学
興味深く読みました。
アメリカやヨーロッパ、中東、などは、いざ戦争になったら、その国の主権者を大量に殺害することで、相手を降伏させる、と言う戦争哲学を持っているようです。

中東・テロの、イスラムが編み出した、主権者の見えない戦略との戦いが始まっているようです。
[ 2015/11/21 11:20 ] [ 編集 ]
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