私的憂国の書

民主主義を希求しつつ、日本における戦後民主主義を否定する。真の主権回復は戦後レジームの打破から生まれる。
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戦後レジームからの脱却を唱えるなら、GHQの「検閲」を理解せよ。

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一般に戦後レジームと言われるもの、戦後秩序と言われるものなど、戦後の日本を拘束し続けるものを考える時、その元凶はGHQの占領政策にあることは間違いない。そして、わけてもその拘束を強固にしてきたものは、「検閲」である。サヨク運動家とか戦後メディアなどを考えると、どういう道を辿っても、その起源は「検閲」というものに行き着くのである。

検閲の内容は多岐にわたり、このエントリーひとつに収まるようなものではない。大変乱暴ながら、特徴的な部分だけを書いてみる。

連合軍が検閲に至った原因は、戦争終結直後に彼等が進駐してきたとき、あれだけ破壊し尽くしたと思われた日本にマスコミが健全に残っていたことにある。NHKのラジオネットワークは維持され、紙不足で2ページしかなくなっていたけれども、朝日、毎日、読売をはじめとする日本の新聞は正常に発行されていた。
そして日本のマスコミは、進駐軍の婦女暴行、家屋侵入、略奪などが頻発している状況を、事実のままに報道していた。
そこでGHQの検閲当局は、「開戦直後、日本軍は“バターン死の行進”の残虐行為を行った」という記事を、朝日、毎日、読売をはじめ、地方紙に至るまで約60紙に掲載させた。
当時はまだ朝日も気骨あるメディアだった。GHQに「おかしいじゃないか」と噛みつき、そのGHQの官制記事に対する批判記事を掲載する。

次いで朝日は、鳩山一郎衆議院議員の名談話を掲載する。

“正義は力なり”を標榜する米国である以上、原子爆弾の使用や無辜の国民殺傷が病院船攻撃や毒ガス使用以上の国際法違反、戦争犯罪であることを否むことは出来ぬであらう。極力米人をして罹災地の惨状を視察せしめ、彼ら自身彼らの行為に対する報償の念と復興の責任とを自覚せしむること、日本の独力だけでは断じて復興の見通しのつかぬ事実を率直に披瀝し日本の民主主義的復興、国際貿易加入が米国の利益、世界の福祉と相反せぬ事実を認識せしむることに努力の基礎を置き、あくまで彼をして日本の復興に積極的協力を行はしむるごとく力を致さねばならぬ。


占領軍は怒りまくった。この一連の記事により、朝日新聞は48時間の発行禁止処分を喰らう。
その後、ニッポンタイムズ(後のジャパンタイムズ)、東洋経済新報などの発行禁止、押収などを経て、米国は日本のマスコミに対して事前検閲を行うと通告する。自由のを標榜する米国が、占領した国の報道の自由を奪うという宣言である。当時、もちろんインターネットもない。情報は新聞やラジオに頼るしかなかった状況で、そのメディアが支配され、その瞬間から、日本国民は米国の都合のよい情報だけしか入手できなくなったのである。

昭和21年11月25日付でCCD(民間検閲支隊)が発布した「検閲指針」文書のなかに、検閲の対象として30項目が列挙されている。如何に苛烈な言論統制が行われていたかが分かる。

削除または掲載発行禁止の対象となるもの

(1) SCAP-連合国最高司令官(司令部)に対する批判
連合国最高司令官(司令部)に対するいかなる一般的批判、および以下に特定されていない連合国最高司令官(司令部)指揮下のいかなる部署に対する批判もこの範疇に属する。
(2) 極東軍事裁判批判
極東軍事裁判に対する一切の一般的批判、または軍事裁判に関係のある人物もしくは事項に関する特定の批判がこれに相当する。
(3) SCAPが憲法を起草したことに対する批判
日本の新憲法起草に当ってSCAPが果した役割についての一切の言及、あるいは憲法起草に当ってSCAPが果した役割に対する一切の批判。
(4) 検閲制度への言及
出版、映画、新聞、雑誌の検閲が行われていることに関する直接間接の言及がこれに相当する。
(5) 合衆国に対する批判
合衆国に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(6) ロシアに対する批判
ソ連邦に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(7) 英国に対する批判
英国に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(8) 朝鮮人に対する批判
朝鮮人に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(9) 中国に対する批判
中国に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(10)他の連合国に対する批判
他の連合国に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(11)連合国一般に対する批判
国を特定せず、連合国一般に対して行われた批判がこれに相当する。
(12)満州における日本人取扱についての批判
満州における日本人取扱について特に言及したものがこれに相当する。これらはソ連および中国に対する批判の項には含めない。
(13)連合国の戦前の政策に対する批判
一国あるいは複数の連合国の戦前の政策に対して行われた一切の批判がこれに相当する。これに相当する批判は、特定の国に対する批判の項目には含まれない。
(14)第三次世界大戦への言及
第三次世界大戦の問題に関する文章について行われた削除は、特定の国に対する批判の項目ではなく、この項目で扱う。
(15)ソ連対西側諸国の「冷戦」に関する言及
西側諸国とソ連との間に存在する状況についての論評がこれに相当する。ソ連および特定の西側の国に対する批判の項目には含めない。
(16)戦争擁護の宣伝
日本の戦争遂行および戦争中における行為を擁護する直接間接の一切の宣伝がこれに相当する。
(17)神国日本の宣伝
日本国を神聖視し、天皇の神格性を主張する直接間接の宣伝がこれに相当する。
(18)軍国主義の宣伝
「戦争擁護」の宣伝に含まれない、厳密な意味での軍国主義の一切の宣伝をいう。
(19)ナショナリズムの宣伝
厳密な意味での国家主義の一切の宣伝がこれに相当する。ただし戦争擁護、神国日本その他の宣伝はこれに含めない。
(20)大東亜共栄圏の宣伝
大東亜共栄圏に関する宣伝のみこれに相当し、軍国主義、国家主義、神国日本、その他の宣伝はこれに含めない。
(21)その他の宣伝
以上特記した以外のあらゆる宣伝がこれに相当する。
(22)戦争犯罪人の正当化および擁護
戦争犯罪人の一切の正当化および擁護がこれに相当する。ただし軍国主義の批判はこれに含めない。
(23)占領軍兵士と日本女性との交渉
厳密な意味で日本女性との交渉を取扱うストーリーがこれに相当する。合衆国批判には含めない。
(24)闇市の状況
闇市の状況についての言及がこれに相当する。
(25)占領軍軍隊に対する批判
占領軍軍隊に対する批判がこれに相当する。したがって特定の国に対する批判には含めない。
(26)飢餓の誇張
日本における飢餓を誇張した記事がこれに相当する。
(27)暴力と不穏の行動の扇動
この種の記事がこれに相当する。
(28)虚偽の報道
明白な虚偽の報道がこれに相当する。
(29)SCAPまたは地方軍政部に対する不適切な言及
(30)解禁されていない報道の公表


日本のマスコミが占領軍の意のままに事を制約されることによって、日本の言語空間から事実上、GHQ、東京裁判、1946年憲法、米・露・支那・朝鮮に対する批判が封殺され、天皇陛下を崇めることすら否定された。軍門に下った敗者は、黙って勝者の言う事を聞けという態度に他ならない。

莫迦莫迦しい話がある。
CCDが事前検閲をする過程で、連合国に都合の悪い様々な記事が、発行間際でボツにされる。その時、埋め合わせが必要になるのだが、米国はその埋め合わせまで周到に用意していた。なんと、米国で発売されたばかりの新型電気洗濯機の記事で埋めるのである。ボツになった記事の代わり写真付きの電気洗濯機の記事が現れる。そんなものなど見たこともない日本人が、ある種の羨望を抱くように仕向けたのである。

CCDの検閲項目の中に「検閲制度への言及」があったために、当時の国民は検閲の存在など知る由もなく、「合衆国に対する批判」が止められていたため、原爆や空襲による市民の大量虐殺などで米国を批判することもできなかった。検閲を通して、米国に理解のある日本人が量産されていったということだ。

この検閲は、マスメディアの変節、戦前の日本に対する無教養の批判を増長させ、占領憲法に対する無抵抗の受け入れを可能ならしめた。この傾向こそが、我が国において、戦後レジームを温室で栽培するような状況を生み出したといっても過言ではない。
戦後レジームからの脱却を語るのであれば、この「検閲」という元凶を知らなければならない。戦後日本人にとっての基礎知識である。



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[ 2013/03/15 07:36 ] 史観 | TB(0) | CM(5)
勉強になりました。ありがとうございます。
私も検閲というのは知っているつもりでしたが、その中に、

(8) 朝鮮人に対する批判
朝鮮人に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(9) 中国に対する批判
中国に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。

とまであったのは知りませんでした。

もしかすると、当時の朝鮮や中国はそれを熟知していたのではないでしょうか。もし、そうなのであれば、現在の保守層は、嫌韓や日教組やマスゴミうんぬんなどだけではなく、この「検閲」という元凶こそが、我々日本人にとっての基礎知識となるように、広く教示していかなければいけませんね。大変勉強になりました。ありがとうございました。
[ 2013/03/15 12:32 ] [ 編集 ]
No title
日本の統治下から米国(連合国)の支配下に置かれた<朝鮮人への批判禁止>の意図の一つは、当時不逞朝鮮人が日本国内で日本人に対して侵した暴虐の数々を、GHQが裏で支えていたからだと思います。つまり、朝鮮人への批判は米国占領政策への批判に繋がるから。
それでいて朝鮮動乱になったら、解体した日本軍への協力を押しつけ、既に「軍」では無くなった元海軍将兵に機雷の掃海を任務とさせる等のご都合主義。ここで命を失った方々も居られます。

米軍は朝鮮人が言う「従軍」慰安婦の実態を知って居ます。アジアの各地で当の慰安婦から聞き取り調査した結果の書類を持って居るはずです。が現在、中韓が日本に汚名を着せるこの騒動を見て見ぬふり、それどころか「非難決議」の始末です。
自国の土地に「慰安婦碑」を建てる事も、街の通りの名を慰安婦関連の名称に変える事も黙認する「同盟国・米国」。彼らの真意を常に冷静に観察する必要があります。

戦争に負けると言う事はこういうことなのだ、とたった一度の敗戦が教えてくれた事の重さを、私たち戦後生まれもしっかり知って伝えおかねば、国の戦いに命を捧げた御霊に報ずる事が出来ません。

江戸の昔から日本には新聞(瓦版)がありました。その意気地を占領下から脱した今も失ったままの新聞人が作る物を、大事なオカネで購う事は大いなる無駄遣いです。日本のテレビは戦後の「娯楽」。まともな報道魂を求めるのが間違いなのかも知れません。そう考えても腹の立たない日はありませんが。
[ 2013/03/16 02:14 ] [ 編集 ]
プレスコード
勉強になりました。
朝鮮人への批判の禁止は、GHQは日本で擬似植民地支配を行っていたからだと思います。 中国人は、米英支蘇ですからまだ分かりますけど、朝鮮人は同じ日本人であるはず。
国内の民族対立を利用するのは植民地支配の鉄則。(そうなると朝鮮併合もかなりおかしい。)
マスコミとか検閲が続いていることからして、現在もアメリカが裏でコントロールしているのでしょう。
それに、サンフランシスコ講和条約で UN(国連とも言う)に入れとされています。
GHQがUNに変わって いまだに日本は占領されているのでしょう。
占領軍(進駐軍)は、安保条約でそのまま居座り。
改めて、検閲が生きていることは 主人が存在するということに他ならないと思います。
[ 2013/03/16 07:23 ] [ 編集 ]
冷静に史実を捉えて誇りある未来を創り上げていく力
始めて知りました。
こういうことを知ると、それを根源に捉えた現在までの流れを単純化して捉えがちになってしまう。
ここでその恨みを中心に据えた論理展開をするなら、いわゆる特亜と同類の歪んだ民族主義、ひいては、誇りを訴えながら卑劣なことを行なう全体主義、軍国主義に突入するだろう。
あるいは現代に起こっていることとの相似性を重ねて、支配層による搾取からの解放というヒガミを根源に据えた論理展開をすれば、いわゆる共産主義思想に進んで行くだろう。
こういう事実があったということを、冷静に受け止め、このような蹂躙を我らの先輩が涙をのんで受け入れながら、後世に託したかったことを我ら一人一人がよくよく考えることだと思いました。
それが今回の記事のタイトルに込められた思いだと私は思いました。
[ 2013/03/16 22:04 ] [ 編集 ]
感謝
いただいたコメントのひとつひとつが素晴らしくて、管理人の出る幕、ありません(^^)
ありがとうございます。
[ 2013/03/16 22:45 ] [ 編集 ]
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