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アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれたG20については、昨日、“外交の天才”が晒した恥ずかしい外交について書いたが、この会合で最も印象的かつ象徴的だった会談のひとつが、日米印3ヵ国首脳会談だ。インドのモディ首相は、この会談後、「JAIによる歴史的な会談だ。海洋協力とインド太平洋の安定について協議し、有益な内容となった」と語った。JAIとはJapan、America、Indiaの頭文字を取ったもので、ヒンディー語で「勝利」や「前進」も意味するという。語呂が良いこともあるだろうが、この日本が主導して形成する枠組みは、将来、インド・太平洋地域の平和と安定に欠かすことができないものとなると予想する。
もちろん、モディ首相はこのG20で、キンペーやプーチンとも会談しており、インドが日米にべったりというわけではない。インドにはインドの事情があるし、彼らも主権国家である以上、外交に主導権を持つのは当然だ。日米としては、この胎動する大国を自らの陣営に引き込むべく、粘り強い外交と関係強化が重要なことは間違いない。

さて、この日米印3ヵ国首脳会談に早くもケチをつけたのが、朝日新聞である。朝日は昨日、「インド太平洋 対決の枠組みにするな」という社説を掲げ、日米が掲げる「自由で開かれたインド太平洋構想」に難癖をつけた。この構想が、中共さまにとって不都合であるからだろう。
ただ、より重視すべきなのは、世界の成長センターであるこの地域に、健全な国際秩序を形づくることだろう。だとすれば、この枠組みを、文字どおり「自由で開かれた」ものとしなければならない。
中国への対決色が強まれば、地域に分断を生み、平和と繁栄の土台づくりが進まなくなる。「一帯一路」への対抗や、中国封じ込めの装置として考えるのは誤りだ。
この冒頭の文を読んだとき、思わずコーヒーを吹きそうになった。インド・太平洋において、朝日が形成すべきと論じている「健全な国際秩序」を乱しているのはたった一か国しかない。言うまでもなく、スプラトリー諸島で軍事要塞を建設している支那だ。彼らは「自由で開かれた」海を自国の海にしようとしている。そういう事情がなければ、米軍が「航行の自由」作戦を展開する必要もないのだ。
今年6月、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議では、中国の海洋進出に関し、様々な懸念が提起されている。米マティス国防長官はスプラトリー諸島に言及し、「中国は脅迫と威圧のため島に軍を配置している」と主張し、仏パルリ国防相は、「板門店に世界の焦点が当たっているからといって南シナ海の問題が消えたわけではない」と釘を刺した。米国は、ハワイに司令部のを置く「太平洋軍」の名称を「インド太平洋軍」に変更した。支那海軍の影響力がインド洋にも広がりを見せようとしていることへの意思表示である。キンペーは2015年、オバマ前米大統領に「人工島の軍事化はしない」と約束したが、その約束は反故にされた。朝日新聞は中共の目線で記事を書くが、現実は逆なのだ。
従来の秩序が動揺し、自国の利益を優先する一国主義や独裁・権威主義が幅をきかせるなか、国際協調や多国間主義を重んじる姿勢が一層、重要となっている。
問われるのは、だれと組むかだけではない。自らが掲げる価値を大切にすることが、今後の日本外交の基礎となる。
独裁主義や権威主義を批判するなら、先ずは中共を名指しすべきだろう。支那は中共が権力を独占する独裁国家であり、国際協調など念頭にない。彼らが外交で使う手法は、経済力と軍事力を背景にした恫喝であり、その中に協調という概念など存在しないのだ。「国際協調や多国間主義を重んじる姿勢」を論ずるなら、先ずその主張を中共に向けるべきである。
現在、国際社会における安全保障は、多国間の枠組みによって担保されるのが常識である。国の安全は一国のみでは担保できないから、国連のような組織があり、多国間の枠組みがあるのだ。そこに協調が生まれ、その国とその国が存在する地域の安定がより確かなものになる。日本が米印と組むのは、共同の安全保障状態を確認し、共通の価値である「自由で開かれた海」をそのまま保つためだろう。その「自由で開かれた海」を自国の海域のように扱う中共の暴走を牽制することすら許さないというなら、朝日新聞は「北京の代弁者」と揶揄されても文句は言えまい。
中共の利益を阻害する要因になるものを批判する朝日新聞こそ、平和の敵と言えるだろう。
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