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評価が分かれるのは承知で言うが、私はミハイル・ゴルバチョフのことを、最も勇気ある政治家として記憶している。先の大戦後直ぐに始まった米ソの冷戦を終わらせたのは、ゴルバチョフの強い指導力があってこそだ。既得権益に凝り固まったソ連の一党独裁主義を、ペレストロイカで終結させたのも彼である。唯一不要なものは、創価大学名誉教授という肩書だ(笑)。
そんなゴフバチョフが、1987年、米国ロナルド・レーガン大統領との間で締結したのが中距離核戦力全廃条約(INF条約)だ。条約は、射程が500km(300マイル)から5,500km(3,400マイル)までの範囲の核弾頭、及び通常弾頭を搭載した地上発射型の弾道ミサイルと巡航ミサイルの廃棄を謳っている。ここでいう核弾頭とは、ミサイル搭載型のものを指すわけで、核兵器そのものを禁止した条約ではない。両国とも核保有国であり、その既得権益と自ら手放すような取り決めをする必要がないし、やるわけはないのだ。
(社説)核軍縮の破棄 歴史に逆行する愚行 (朝日)
そういう背景を理解した上で、朝日新聞の社説を読むと、朝日新聞のフェイクぶりがよく理解できる。
INFと呼ばれる中距離核戦力の全廃を決めた条約である。1987年に当時の米国とソ連が結んだ史上初の核兵器削減条約であり、冷戦の終結を予感させる歴史的な合意だった。
核大国の米国は、核の広がりを防ぐ国際条約により核軍縮の義務を負っている。それが逆に核軍拡へかじを切るのは愚行というほかない。
繰り返して言うが、INF条約はミサイルを制約する条約であるから、核兵器廃絶条約ではない。ミサイルはあくまで手段であり、手段を縛っても、別の手段が開発される。従って、INF条約を破棄することが、「核軍拡へのかじを切る」こととイコールではない。朝日は、事実関係を曲げて伝えているのだ。
トランプ氏は、中国の急速な核強化にも言及した。今では、インド、パキスタンなども核保有し、国際条約に縛られていない核開発が進んでいる。
しかし、その問題をただす道は、対抗的な核軍拡ではない。たとえ不十分ではあっても核開発にブレーキをかけてきた既存の枠組みや条約を土台に、核兵器の役割と数量を減らす規制を拡張していくことが重要だ。(中略)
米国の取るべき道は、ロシアとともに、中国なども巻き込んだ実効性のある核軍縮の枠組みづくりや信頼の醸成である。
先の大戦後、最も多くの軍事費をつぎ込み、兵力および兵器を最も増強させたのが中共である。INFが米ソ二国間の条約である以上、、条約は中共の軍事大国化に対しては無力だ。核軍縮は、いまや、中共のコミットなくして意味がないのだ。

古森義久氏によるJBPressの記事によれば、「もし中国がINF条約に加盟していたとすれば、いま中国が保有する全ミサイル約2000基のうち95%相当が条約違反となる」そうだ。そして、95%に対抗する兵力は、日本はもとより、INF条約に拘束される米国にはない。武力の均衡が平和を維持する装置になるという現実から見れば、兵器だけをとってみれば、米中は極端に不均衡な状態にある。その影響を直接的に受けるのが、在日米軍に安全保障の重要な役割を依存する日本なのだ。
戦争被爆国の日本にも責務がある。北朝鮮問題を含め、今のままではアジア太平洋は核がひしめく危険地帯になる。安倍首相は、トランプ、プーチン、習近平(シーチンピン)各氏との会談の機に、核軍縮の重要性を説くべきだ。
「今のままではアジア太平洋は核がひしめく危険地帯になる」というのは、核アレルギーに侵された理想主義者の妄言とも言えるだろう。米国がINF条約から離脱し、中距離ミサイルを持てるようになり、それが在日米軍に配備されれば、米中の間に力の均衡が生まれ、日本の安全保障にとっては逆にプラスなのだ。朝日のような核兵器廃絶原理主義者には、こういう見方ができないのだろう。または、北京を利する政策を、日本政府に訴えている「中共の代弁者」とでも言うべきか。
そもそも、INF条約は30年も前のものだから、現在の安全保障環境を考慮すれば、時代遅れの感がある条約だ。もっとも、70年前に作られた憲法にしがみつく空想的平和論者にとっては、30年前も遠くない過去なのかもしれない。日本政府は米国のINF条約離脱を支持すべきだ。
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