私的憂国の書

民主主義を希求しつつ、日本における戦後民主主義を否定する。真の主権回復は戦後レジームの打破から生まれる。
私的憂国の書 TOP  >  2017年05月04日

安倍総理の改憲案 ~ 9条2項を残すのは「戦後レジームの継続」だ

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 安倍総理が、東京都内で開かれた憲法改正を目指す市民らの会合にビデオメッセージを寄せ、憲法を改正し、2020年の施行を目指す考えを表明した。戦争の放棄などを定めた憲法9条に、自衛隊に関する条文を追加することを挙げた。

 私はこのビデオメッセージを、猛烈な違和感を以て聞いた。その原因は、以下の部分である。

 私は、少なくとも私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、「自衛隊が違憲かもしれない」などの議論が生まれる余地をなくすべきであると考えます。

安倍総理


 もちろん、9条の平和主義の理念については、未来に向けて、しっかりと堅持していかなければなりません。そこで「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方、これは国民的な議論に値するのだろうと思います。


 前段については、文句なしの大賛成だ。自衛隊という存在とその立場は、明確に位置づけられなければならない。護憲派はこの部分でさえ発狂するだろうが、大した問題ではない。違和感は次の段に起因する。

 安倍総理は、憲法9条の1項、2項を残す考えを表明した。だが、1項はまだしも、2項は排除すべきというのが私の考えだ。私のバイブル的存在である、江藤淳著「一九四六年憲法 その拘束」に、9条2項の問題点が的確に書かれているのだ。

 私がここで提起しようとしている問題は、本来ごく単純な問題である。それは、わかりやすくいえば、日本が憲法第九条二項の規定している「交戦権」を放棄したままで、果して平和を維持できるか、という問題にすぎない。

 日本は、少くとも今後二十年のあいだ、世界のどの地域で勃発するどんな戦争にも巻き込まれないで、平和に発展を続けなければならない。そのために、どれほどの叡智と、どれほどの賢さが必要であるかは、ほとんど測り知れないほどである。完全な主権を有する国にとってさえ至難なこの難事業を、主権を制限されている日本が、どうして遂行できるだろうか? 主権制限は、当然外交上の選択肢を制約する。持駒をすべて使いこなし、ありとあらゆる手段を用いても成功できるかどうか覚束ない戦争の回避を、いわば指先を縛られたままの状態に置かれた今日の日本が、どうして首尾よくなしとげることができるだろうか?

 「交戦権」の回復は、もとより戦争への道を歩むことを意味せず、実は核武装すら意味しない。それは主権の回復のみを意味し、日本が強制された憲法上の拘束によってではなく、自らの意思によって選択した基本的政策として、平和維持のあらゆる努力を継続することを意味するにすぎない。つまり、それは日本が通常の自由な主権国家となり、ふたたび自己の運命の主人公になるということを象徴する行為にすぎない。

江藤淳著「一九四六年憲法 その拘束


 江藤淳がこの「一九四六年憲法 その拘束」という論文を、雑誌「諸君!」に発表したのは、確か1980年のはずだ。今から37年も前の論文だが、この指摘は、いま現在の論文だったとしてもまったく通用するものだ。この指摘に対し、政治もジャーナリズムも全く答えを出してこなかったのだ。そこに風穴を開けようとする安倍総理の姿勢は、大いに評価する。しかし、9条2項を残すというのは、安倍総理の理念のど真ん中にあるはずの「戦後レジームからの脱却」とは真逆の考え方ではないのか。

 本来、交戦権とは、国家主権に内包されるものだ。その交戦権を認めないということは、国家の主権を自ら制限すること ―― つまり、日本は主権を回復していないという宣言でもある。私は1項にも問題があると思う一人だが、もし安倍総理の言う通り、「平和主義の理念を残す」という目的を達成するのであれば、1項を残せば十分だ。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と書かれている2項の条文と、「自衛隊の位置づけを明記」という目標が、両立できる条文は如何なるものなのか、もう少し説明が必要だ。少なくとも、9条2項は「戦後レジーム」そのものであり、私は破棄、もしくは改正すべきであると考える。

 もっとも、「安倍総理大臣は立憲主義を踏みにじって、自分のレガシーのために改憲したいのではないのかと疑ってしまう」と、ヘイトスピーチまがいの感想を述べる野党第一党の代表ほど救いようがないものはなく、憲法改正はこのメッセージで確実に俎上に載った。あとは内容の詰めである。NHKや朝日、毎日らが煩くなるだろうが、ネットが論破するだろう。

一九四六年憲法 その拘束 (文春学藝ライブラリー)
一九四六年憲法 その拘束



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