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安倍総理が訪問先のペルーの首都リマで、ロシアのプーチン大統領との首脳会談を行った。1時間10分の会談のうち、途中からの35分間を通訳を除き両首脳2人だけで話し合ったという。安倍・プーチン会談は、これで15回目だそうだ。長期政権のなせる業である。会談では、経済協力プラン、北方領土問題を含む平和条約締結交渉等が話し合われたとされるが、こと北方領土問題に関しては、安倍総理が「道筋は見えてきているが、大きな一歩を進めることはそう簡単ではない」と語り、交渉の難しさをにおわせた。

それはそうだろう。北方領土問題にしても平和条約にしても、これだけ長きに渡って未解決のまま棚ざらしされてきたのである。ロシアの実効支配によって、北方領土にはすでにロシア人が生活を営んでいる。護憲派は占領憲法が70年に渡って国民のあいだに根付いたと主張するが、北方領土とて同じなのだ。問題の解決に期待が高まるが、「簡単ではない」というより、いまだ「困難な道」には変わりないのだ。
安倍・プーチン会談を受け、安倍政権を非難する材料に飢えている朝日新聞は、さっそく21日の社説で注文を付けている。
日ロ首脳会談 原則を踏みはずさずに (朝日新聞)
戦後70年を過ぎ、なお実現しない日ロ間の平和条約。日本の政治指導者として、その締結をめざす姿勢は理解できる。
同時に、踏みはずしてはならない原則がある。「法の支配」という普遍の価値観を共有する米欧との協調と両立させねばならないということである。(中略)
北方領土問題は重要だ。ただその進展を急ぐあまり、経済制裁の足並みを乱すような動きと見られてはならない。
どんな局面であれ、日本は国際法を順守し、民主主義の価値観を守る立場にたつべきだ。
それが国際社会への責任であり、北方領土をめぐる日本の主張の正当性を強め、説得力をもたせることになる。(以上、抜粋)
米軍基地問題や安全保障関連法では「対米追従」を批判する朝日だが、対露交渉に関しては「米国の顔色を窺え」と主張する。その根拠がロシアのクリミア併合という「力による現状変更」だ。だが、乱暴に言ってしまえば、ロシアに「法の支配」を説くことは無意味である。何故ならロシアによる北方領土の占領とその後の不法占拠自体、「力による現状変更の継続」であり、そこに法の支配がないからだ。
一時、返還の機運が高まった北方領土問題だが、安倍総理の「簡単ではない」ということばは、日本の主張、即ち四島返還、その前提としての帰属問題が、ロシア側と折り合いがつかないことを示しているのだろう。プーチンの引き分け発言は、領土問題解決への意欲と、その見返りとしての日本の対露経済協力への期待を示していたことは間違いないのだが、国際情勢は刻々と変化する。トランプがプーチンを「われわれの大統領よりもはるかに優れた指導者」と持ち上げたことで、米国との軋轢が解消に向かう期待もあるだろう。対支政策においてロシアを取り込みたい日本の足元も見ている。
マトビエンコという上院議長を日本に遣わし、「2島や全島の引き渡しに関する交渉は一切行われていない。私たちは主権を譲り渡すことはできない」と言わせた。交渉の主導権はロシアにあることを、明確に示したのだ。交渉が続く限り、タフな交渉になることは必至なのだ。
ロシアは大国と言われ、今後の国際社会の動向を左右する3つの大国のうちのひとつとされている。だが、広大な領土のわりに経済規模は大きくなく、GDPでいえば南朝鮮にも及ばぬ後進国だ。それでも不思議とG8の一角を占めていたのは、戦後体制のひとつである。プーチンは経済協力分野において、日本と中国を天秤にかけるような揺さぶりをかけているようだが、技術を持たないハリボテ経済国家の正体は既に見抜いているはずだ。彼等には日本の協力が必要であるはずだ。
来月中旬、安倍総理はプーチンを、故郷山口に迎える。各種交渉の目に見えた進展が期待されていたが、いまとなっては焦っても無駄だ。安倍総理は、長期戦で挑めばよい。北方領土の返還は、戦後日本の悲願である。だが、悲願を成就させるための「安売り」だけは避けるべきである。
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