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私的憂国の書

民主主義を希求しつつ、日本における戦後民主主義を否定する。真の主権回復は戦後レジームの打破から生まれる。
私的憂国の書 TOP  >  2016年05月09日

報ステ「憲法9条、幣原発案説」はパラダイムを転換しない

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 戦後民主主義の権化みたいな人たちが、5月3日、有明防災公園で憲法集会を開き、5万人が集まったという。中でも失笑を買ったのが、故菅原文太氏の奥さんの菅原文子氏。「北朝鮮が挑発的と報道されているが、挑発しているのは米韓ではないか。わたしには夢がある。いつの日かピョンヤンでオリンピックが開かれることを」と語ったそうだ。5万人の同志の前なら良いが、これを一般市民の前で声高らかに叫んだら、一同ドン引きだろう。小田実なんぞ、天国で感涙にむせんでいるに違いない。

 さて、憲法といえば、報ステがスクープと称して報道した「憲法9条、幣原首相発案説」が話題だ。中部日本新聞・元政治部長だった小山武夫氏が、幣原喜重郎総理にインタビューをした際、「憲法9条は私がマッカーサー元帥に申し上げて、憲法9条になった」と語った録音テープを、鈴木昭典というジャーナリストが発見したというのが報道の内容だ。左派は、言論人から市井の民まで一様に、鬼の首を取ったように、この報道を歓迎している。


 私にはこれは「富田メモ」と同じ類の、根拠に等しい報道に思える。「富田メモ」とは、昭和天皇が第二次世界大戦のA級戦犯の靖國神社への合祀に強い不快感を示したとされる内容が書かれた元宮内庁長官の日記だが、これを以て昭和天皇がいわゆるA級戦犯の靖國参拝に否定的だったという確たる証拠にはならない。同じように、小山武夫氏の録音テープも、当事者がいない状況で語られたもので、小山氏の発言を100%鵜呑みにしない限り、歴史を決定するものではない。

 従って、これをもって「押し付け憲法論は論破された」と喜ぶのは短絡的である。むしろ、この憲法が、日本中がGHQによる言論統制下にあった時期に作られたことに、より大きな問題がある。昭和21年11月25日付でCCD(民間検閲支隊)が発布した「検閲指針」文書のなかに、検閲の対象として30項目が列挙されている。問題はその(3)である。

削除または掲載発行禁止の対象となるもの

(3) SCAPが憲法を起草したことに対する批判
日本の新憲法起草に当ってSCAPが果した役割についての一切の言及、あるいは憲法起草に当ってSCAPが果した役割に対する一切の批判。


 GHQは、日本のメディアに言論統制を強いてまで、GHQが我が国の一九四六年憲法に果たした事実を封印しようとした。これに反するメディアには発行禁止処分等の罰則が加えられ、結果として社の存続すら危うくなるから、好むと好まざるとにかかわらず、この検閲指針に従順に対応した。押し付け憲法論を裏付ける客観的事実は、このほかにも多々存在する。報ステのスクープとやらで、パラダイムが大転換することなどないのだ。

 押し付け憲法論だけが改憲派、自主憲法制定派の論点の一部に過ぎない。本質的には、この憲法が、現下の日本を取り巻く状況に十分であるか否か、そして、我が国の国柄を歴史と伝統を丁寧に汲んだ上で適切かについて、議論をしたいものだ。


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