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私的憂国の書

民主主義を希求しつつ、日本における戦後民主主義を否定する。真の主権回復は戦後レジームの打破から生まれる。
私的憂国の書 TOP  >  2015年07月21日

江藤淳を偲ぶ ~ マスメディアが企図する安倍晋三の悪魔化と平和主義

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 いまから17年前のきょう、7月21日、文藝評論家であり、保守派の代表的論客だった江藤淳が自刀し、生涯を終えた。享年66歳。遺言は名文と言われる。

心身の不自由が進み、病苦が堪え難し。去る六月十日、脳梗塞の発作に遭いし以来の江藤淳は、形骸に過ぎず、自ら処決して形骸を断ずる所以なり。乞う、諸君よ、これを諒とせられよ。平成十一年七月二十一日 江藤淳


 戦後左翼の精神的支柱だった吉本隆明をして、「文学者で外国の大使や外務大臣になれるのは江藤さんぐらい」と言わしめた江藤だが、その吉本には、「日本の統治や権力の中に潜む謎を解くことが自分にとっての文学なんだ」と言っていたそうだ。「時代に密着し直視すること」。これが江藤にとっての文学である。私が江藤の政治論文を好んで読むのは、氏のそのような思想が影響してるのだなと、後になって気づくことになる。

 そんな江藤淳の書籍は、「閉された言語空間」という例外を除いては、ほぼ絶版状態にあり、古本を探すしか方法がなかったのだが、久しぶりに、文春学藝ライブラリーが「一九四六年憲法 その拘束」を復刻させた。収録された内容も単行本と同じで、有名な「ごっこの世界が終ったとき」も収められている。「閉された言語空間」と並び称されるべき良書であり、現行憲法の出自を知るには最高の参考書である。(ただし、白井聡のあとがきは読まないほうがいい。)

一九四六年憲法 その拘束(江藤淳)
一九四六年憲法 その拘束(江藤淳)


 江藤さんの命日だなと、昨日この書籍のページをめくっていたら、やはり現在の政治・社会情勢に通ずる文章にいくつも出会う。下記名文は、いまから55年前の1960年にかかれた「“戦後”知識人の破産」に出てくるものだが、今の社会情勢にぴったりとはまるのだ。

 生きていようとすれば、時計の針を進めねばならない。それは大小の実際家と歩調をあわせて、眼前の悲惨、国際間の摩擦といったようなものをみとめることであり、「新しい日本」が権力の動力学の外に「建設」されるものではないことをみとめることである。さらに、手を汚さないで権力を手に入れることはできず、政治と道徳が背馳するという冷酷な真実をみとめることでもある。そして、あえていえば、「平和」といったようなものが、単に戦争の回避の連続という綱渡りを意味するにすぎず、絶対の静寂といったようなものではないということを勇敢に承認することである。


 左派メディアは、いまこのときも、安倍政権批判が我が国の平和維持に不可欠なものであるかのような報道姿勢を貫く。フジテレビが昨日、安倍総理が安保法制に関して自ら説明する時間を割いたのは良かったが、安倍総理の出演の直前に組んだ特集が、先の大戦時における戦意発揚国策映画と検閲の特集だ。ありったけの悪意がこもっていると、私は感じた。

 フジのみならず、メディアは安保法案で、法案に反対する文化人や憲法学者を総動員し、安倍晋三という政治家を悪魔化する作業に余念がない。だが、彼らには反対した後に掲げる次のプログラムがないのである。少なくとも、「話し合い」という解決策以外、私は聞いたことがない。「平和=戦争の回避の連続という綱渡り」という現実を、マスコミも文化人らも見て見ぬふりをしているだけなのだ。

 かつて江藤は、安保闘争におけるデモ隊の国会構内乱入を礼賛した大江健三郎に対し、「もし入るなら次のプログラムがなければならない。何をしたらいいのかわからないのに入るというのは愚劣ですね」と、その思想を酷評した。平和主義者というのは、安保闘争の時代から今に至るまで、思想の厚みをほとんど増した形跡がない。

 理想主義に走る戦後の進歩陣営、知識人らに対し、江藤淳はリアリズムを貫いた。今の時代、こういう人物が再評価されてよいと思う。

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