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私的憂国の書

民主主義を希求しつつ、日本における戦後民主主義を否定する。真の主権回復は戦後レジームの打破から生まれる。
私的憂国の書 TOP  >  2015年07月14日

宮崎駿の現実逃避に「空想的平和論」の限界を見る

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 護憲派や安保関連法案に反対する勢力の主張で良く聴かれるのが、他国の戦争に巻き込まれると言う想定である。元を辿れば、この人たちの言うことの根底に、「軍隊があると戦争になる」という頑ななテーゼがある。しかし、これはまやかしだ。

 鶏が先か卵が先かという禅問答になりそうだが、「軍隊があるから戦争になる」というのは因果関係としておかしい。むしろ、その逆なのだ。「戦争があるから、もしくは戦争になる可能性があるから軍隊が組織される」という方が正しい。日本も戦国時代、大名の家臣は軍隊だった。江戸になっても、家臣の本来的な位置づけは戦闘員だった。しかし戦がなくなったので、それが官僚組織に変わって行ったのだ。やがて幕末になり、外国の軍隊が日本を脅かすようになったため、再び軍隊が組織されたのである。これが戦争と軍隊の関係性だ。

 戦後の進歩的文化人の中には、このテーゼの間違いに気づいていた人物もいたかもしれない。しかし、それを認めてしまうと、自分たちの活動の土台が崩れてしまうため、理想を現実に優先させた。その状態は今も変わっていない。昨今、そういう勢力の広告塔となっているのが、かの宮崎駿である。

宮崎駿


 昨日13日、その宮崎駿が外国特派員協会所属の記者をわざわざジブリまで出張させ、その記者連中を相手に会見を開いた。会見の表向きの趣旨は、自らが共同代表を務める「辺野古基金」の宣伝でだ。しかし、本当の趣旨は、安保関連法案への批判活動であろうと思われる。実際、宮崎は会見の中で、安保関連法案への持論を披歴しつつ、安倍総理への批判を展開している。だが、発言内容は極めて膚浅であり、かつ滑稽さも漂わせる。

 先ず、宮崎は、安保関連法案の今国会での成立を目指す安倍総理に関し、「憲法解釈を変えた偉大な男として歴史に名前を残したいのだと思うが、愚劣なことだ」と批判した。これは安直な決め付け ―― いわゆるレッテル貼りだ。TBSは報道で、「その政策に異議を唱えました」と説明しているが、これは政策ではなく安倍総理個人に対する中傷だ。

 もっとトンデモ発言も出てくる。いまやサヨクメディアとしての地位を確固たるものにしている、「弁護士ドットコム」から引用しよう。

「なぜ日本人は憲法を大事にしているのか」という質問に対しては、「15年にわたる戦争は、惨憺(さんたん)たる経験を日本人に与えた。平和憲法は光が差し込むようなものだった」「平和憲法は(第一次大戦後の)不戦条約の精神を受け継いだもので、必ずしも、歴史的に孤立したものだったり、占領軍から押し付けられたものとはいえない」と答えていた。


 これは歴史に対する甚だしき知識不足である。宮崎の語っているのは単純に「想い」でしかない。その「想い」が強すぎるのか、宮崎は、「想い」に都合が悪い歴史的事実を恣意的に無視している。宮崎の語った文脈で理解しようとすると、現行の一九四六年憲法は、不戦をと平和を祈念する日本人自らが望んだものであり、その制定過程においては、占領軍の意思以上に、日本人自身に主体的な制定への意欲があったとしか読みようがない。そんな歴史的事実、どこを探したら出てくるのか?

 宮崎は会見で、「若者の右傾化をどう思うか」と問われ、「スマホを手放せば変わる」と答えた。「日米同盟についてどう思うか?」と問われ、「僕はアメリカ式大量消費文明が好きではない。いつが終わりが来る」と明後日の答えを提示した。「安倍首相は人気が無いのに選挙に勝つ。なぜ日本の左翼は弱いのか?」と問われ、「民主党が負けたのは地震と原発事故のせい」と答えた。もう、思考回路がどこかでショートしているのではないかと心配してしまうほど、現実から遠ざかりたいという氏の願望がほとばしる。

 極めてつけは安保関連法制と支那に関する見解だ。「安保法制についてどう思うか?」と問われ、宮崎は「軍事力で中国の膨張を止めるのは不可能。別の方法が良い」と答えている。普天間の辺野古移設に反対、安保関連法案に反対と、主張するのは勝手である。しかし、宮崎は別の方法が良いと言っても、その別の方法を提示できない。ここが、いわゆる「空想的平和論」の致命的な欠陥なのだ。政治家でないから代案を提示する義務はないと言うかもしれない。だが、宮崎が「宮崎駿という看板」を利用して発言し、支持を集めようとする限り、代案に無責任ではいられないはずだ。

 老婆心ながら、「少なくとも、現行憲法制定の過程ぐらい知っておかないと莫迦にされるよ」と忠告したくなる。江藤淳の「一九四六年憲法、その拘束」を一冊、ジブリに送ろうかと、真面目に考えている。

一九四六年憲法 その拘束 (文春学藝ライブラリー)
一九四六年憲法 その拘束 - 江藤淳


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