補償問題には一切触れられておらず、この問題を決着済みとする従来の政府の立場に変更はない。当然のことだ。
その上で、未来志向の日韓関係の構築を強調するなど、妥当な内容と言えよう。
菅直人首相はきのう発表した談話で「痛切な反省と心からのお詫(わ)びの気持ち」を表明した。
首相談話として初めて、植民地支配について「政治的・軍事的背景の下、当時の韓国の人々の意に反して行われた」と位置づけた。「民族の誇りを深く傷付けられた」とも述べ、韓国民の心情に思いを寄せた。
共感できる認識だ。私たちも重く受け止めたい。
(中略)
だが、自民党など野党だけでなく与党民主党内にも、談話発表に反対や慎重論があった。「決着済みの補償問題を蒸し返す」などという批判だ。保守系の議員グループは「国民や歴史に対する重大な背信だ」とする声明まで出していた。浅く、また見当違いの見方ではないか。
(中略)
談話にある通り、勇気と謙虚さを持って歴史に向き合い、過ちを率直に省みることが必要だ。深い思慮に基づく冷静な言動を心がけてこそ、未来志向の関係を構築できる。
昨年政権交代を果たした民主党にとっては政権政党として初めて迎えた8月だ。そして、100年前のこの時期に併合条約が締結・公布され日本による植民地支配が始まった。談話は、その節目にあたり新政権として意思表明を行ったものとして意義がある。前向きに受け止めたい。
併合により五百年続いた王朝は滅びた。植民地時代末期には学校で日本語だけを教え、名前も日本式に変える創氏改名を強要した。同化政策が韓国人には最も屈辱的なことだった。首相談話はその心情を考慮したといえよう。
民主党内にも菅首相の新たな謝罪表明に反対論も出た。補償問題を蒸し返すという危惧(きぐ)もある。だが、閣議決定を経た以上、少なくとも閣僚は首相談話の内容から外れる言動を自制すべきだ。
日韓併合条約は1910年8月22日に締結され、1週間後の29日に発効した。日本は同条約に基づき、朝鮮半島を植民地支配した。閣議決定した首相談話は、この歴史の事実を直視しつつ、未来志向の日韓関係を構築する意志を強調したものだ。
こうしたメッセージが日韓関係に横たわる歴史問題を和らげ、両国の協力強化につながるならば、日本にとってもプラスだ。
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